5月30日(日)7:30~8:00
ふるさと探訪シリーズ・わが街こころの風景③
『倶利伽羅歴史探訪 ~津幡町~』
◆◆◆ふるさとの歴史ロマンを探る30分◆◆◆
新緑がまぶしい季節です。今回はありのままの自然が残る
津幡町の倶利伽羅峠を訪ね、その歴史に触れていきます。
◎八重桜とこころの拠りどころ
倶利伽羅峠の頂上付近にある倶利伽羅不動寺は、
日本三大不動尊の一つ、倶利伽羅不動尊が安置される歴史あるお寺。
毎年4月下旬からの大型連休に合わせ、「八重桜まつり」が催されます。
この桜は昭和30年代、富山県の高木勝巳さん(故人)が峠で
トラックごと転落するという事故に遭ったものの、ケガ一つせず、
3日3晩、枕元に不動明王が現れて「山を賑やかにしてほしい」という
お告げを聞いたことから、植え始められたものです。
「昭和の花咲かじいさん」と呼ばれた高木さんの意思を受け継ぎ、
今も地元の有志が毎年のように苗木を植えています。
その数は3000本とも、6000本とも言われていますが、
この苗木がどんどん育てば、峠は八重桜であふれることでしょう。
ちなみに倶利伽羅峠の八重桜は、例年4月下旬に満開になりますが、
ことしは気温の低い日が続き、5月に入ってようやく満開を迎えました。
もこもこっと重量感あふれる花つきの良さは見ごたえがありました。
また、まつりに合わせて、寺では「念仏赤餅」が振る舞われます。
つきたてのお餅を住職の発声で、みんなが頬張る姿は圧倒されますが、
このお餅ひとつにも祈りが込められているのかと思うと、
まさにこの地は、心の拠りどころとして親しまれているんだなと実感します。
◎歴史街道はドラマの宝庫
さて、その倶利伽羅峠の旧街道は、
5月に入ってますます緑が鮮やかになってきました。
宿場町だった竹橋地区から富山県までの12.8キロの区間は
平成7年に歴史国道として整備されました。
峠の入口となる前坂から、ガラリと雰囲気が変わって、
まるでタイムスリップしたかのような気分になれます。
この前坂から龍ヶ峰城跡までの道が、平成21年、
県の文化財に指定されています。(道の文化財は県内でここだけ)
地元のボランティア・ガイド、つばたふるさと探偵団の越野昭さんは、
戦いにおける戦略上の道でもあり、参勤交代にも使われた
重要な道だったことを、楽しい解説とともに教えてくれました。
戦いで特に知られているのが、源平合戦の一場面、
源氏側が牛の角に松明をつけて、平家の軍勢を攻めたという
「火牛の計(かぎゅうのけい)」です。
峠の頂上付近の公園には、火牛の像などが建てられ、
越野さんも、「ここはドラマの山でもある」と語ります。
ただ風景を楽しむだけではなく、そこに隠された歴史をひもとけば、
それが心象風景となって、1コマ1コマ、心に描かれていく…
倶利伽羅峠は歩けば、歩くほど、歴史の面白さを
感じずにはいられない場所なのかも知れないですね。
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【リポーター】平見夕紀