5月8日(日)7:30~8:00
シリーズ・ふるさとの彩り②
『山野草・春の妖精たち』
◆◆◆ふるさとの自然美をめぐる30分◆◆◆
大型連休の真っ只中、時には汗ばむ陽気となっていますが、
白山ろくではようやく遅い春がやってきました。
◎豪雪の影響に悩まされ…
今回は白山ろくを中心に山野草を紹介するのですが、
いつもだったら咲き始めている花たちの開花が大幅に遅れました。
ことしの白山ろくは久しぶりの大雪に見舞われ、
4月に入っても、まだまだたくさんの雪が残っていました。
そのため、雪どけとともに見られる山野草たちの開花が
2~3週間遅くなってしまったのです。
お目当てとなる山野草は、
「スプリング・エフェメラル ~春の妖精・はかない命~」と形容される
咲いてから1・2週間であっという間に枯れてしまうという花です。
代表的なのはカタクリ、キクザキイチゲ、イチリンソウ、ニリンソウ、
ショウジョウバカマなどなど…
いしかわ自然学校の中村明男さんは、
子どものころカタクリのデンプンから片栗粉を作っていたので、
商人が買い求めに来ていたと想い出を語ってくれました。
(現在はジャガイモのデンプンを使用)
このカタクリ、種から花がつくまで約8年もかかります。
それなのに咲いたら10日ほどで枯れてしまうなんて…
確かに「はかない命」ですよね。
カタクリは万葉集でも大伴家持が詩に残していて、
県内にはいくつもの群生地があります。
金沢市の「平栗いこいの森」は4月中旬に見ごろを迎えました。
カタクリの蜜を好むギフチョウとの競演を狙って、
たくさんの愛好家たちがカメラを向けていました。
個人的におススメしたいのが、獅子吼高原(スカイ獅子吼の頂上)から
標高928mの奥獅子吼山へ向かう登山道。
ここには「カタクリ・ロード」と呼ばれる群生地があり、
稀にシロバナのカタクリを見ることができますよ。
(ことしは大型連休明けが見ごろです)
◎苦労した分、ご褒美も♪
さて、ことしは開花が遅れた分、撮影もギリギリまでかかってしまいました。
天候にも左右される開花にハラハラさせられながら、
山ろくの達人たちからの連絡を受けて、カメラ片手に飛んでいきました。
そんな厳しい状況でしたが、サプライズもありました。
ことしはブナの花が大開花を迎えたのです。これは2005年以来、6年ぶり!
ブナは5~10年に1回大開花し、秋にはたくさんの実をつけます。
前回、2005年の秋も大豊作で、翌年には山ろくの動物たちの間で
ベビーラッシュになったといわれています。(ブナの花も動物たちの好物)
石川県自然史資料館の水野昭憲館長は、
ことしの秋はサルもクマも里には下りてこないんじゃないか…と
胸を撫で下ろしていました。
またブナはほかの樹木より1週間ほど早く芽吹くので、
今時期に山ろくの山々を眺めると、どこにブナがあるのかよく分かります。
鮮やかな黄緑色と、もこもこっとしたブナの花も
白山ろくの動物たちの営みを支えている彩りといえますね。
さて、放送ではちょうど見ごろとなった山野草がたくさん登場しますが、
標高の高いところではこれからが見ごろとなります。(連休明けでもOK)
白山自然保護センターの中宮展示館では、
去年、新たに観察路が設けられ、ことしも4月29日から開館しています。
同センターの野上達也さんに、開館前の展示館周辺を案内してもらいました。
雪の残り具合が全然違うというか…、展示館の周りで60cmの積雪…
でも、観察路のところどころ雪がとけた場所には
カタクリなどが顔をのぞかせています。
雪が多かった分、ここでもサプライズ。本来なら開館の時期には
すでに終わってしまっている早咲きの山野草、
イワウチワが満開になっていたのです!
最後の最後でのご褒美に喜んでいると、野上さんもうれしそうでした。
自然は足を運べば何かがある!を体感した気分…
皆さんもぜひ、愛らしい山野草たちに会いに行ってみてください。
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【リポーター】平見夕紀