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金曜ロードSHOW!『かぐや姫の物語』

大人の感想文コンクール

~~大人に見てほしいアニメ~~
塚田誉です。
5月18日(金)放送の金曜ロードSHOW!「かぐや姫の物語」はご覧いただけましたか?
日本最古の物語とされる「竹取物語」は、私たち日本人にとってなじみ深い昔話です。本作では、かぐや姫の筋書きはそのままに、誰も知らなかった姫の「心」をも描き出しています。
子どもの幸せ、親の幸せとは? みずからの“生”を力一杯生きることの意味を問う傑作です。大人のみなさんにこそ鑑賞していただきたい作品だと思っています。

感想文をお寄せ頂いた皆様、ありがとうございます。
映画が問いかける永遠のテーマについて、また高畑勲監督のメッセージについて、私と一緒に考えて下さった皆様に、改めて感謝申し上げます。


最優秀賞

「親の気持ち」
金沢市 戸川 有梨子 様


 かぐや姫の物語が公開し、映画館で見た時は、20代前半。かぐや姫の幸せを勘違いした両親たちにすこし呆れ、自分がかぐや姫だったら、などと考えながら観ていた記憶があります。最後の月に帰るシーンは、それでも愛していた両親達と別れる辛さ、羽衣を纏わされ、記憶がなくなってもなお、地球を見て涙するかぐや姫を見ながら、私も、あの不思議な音楽のせいもあって泣いていました。
 そして今、日々の生活が忙しく、ジブリ映画もじっくり見れない中、久しぶりに見た金曜ロードショー。自分も2ヶ月前に親になったばかり。そのためか、かぐや姫の両親たちの気持ちが少しだけですが、わかった気がしました。
 子供が幸せになればいいなあと思って親が行うこと、それが全て子供の幸せに繋がるかはわからないけれど、それでも両親と離れた後のかぐや姫は、泣いていました。
 日々成長する自分の子供を見ていると、子供なんてすぐ大きくなって、親の元を離れてしまう。育て方に後悔したって、大きくなって離れてしまえば、それはもう時間を戻すことはできない。でも、親として一生懸命子供とかかわれば、かぐや姫が最後泣いていたみたいに、心のどこかに、親との思い出や、愛する気持ちが残るのかな、と思いました。これから、一生懸命、子供とかかわっていこう、そう思いました。
 最後になりますが、高畑監督、お疲れ様でした。これからも、子供とジブリ映画、見続けていこうと思います。

塚田アナより

 映画を観終わった後の、思いが溢れている様子が伝わってきました。若い母親の眼で、鋭く優しく、ご覧になりましたね。
 子の幸せを考えない親はいません。翁も媼も真心を尽くしたのです。それなのに姫本人の幸せは別の所にありました。極めて不条理ですが、いつの世にもあることです。姫の最後の涙は、記憶が消えても、消えなかったものがあるという、ご指摘の通りと思います。
 テレビの前の多くのご家族が、同じ気持ちでご覧になったことでしょう。子育てへの決意に結び付いたこの作品を、いつか、お子さんと一緒に、また鑑賞して下さい。まっすぐな感想文でした。

優秀賞

「それでも生きてゆく歓び」
白山市  白潟 美栄子 様


 「かぐや姫の物語」を、映画館で続けて4回、今回の番組で5回観ました。何度観ても『来迎』のシーンは胸が熱くなり、涙が止まりません。いつか私にも訪れるであろう「死」。雲に乗り阿弥陀さまたちが楽器を手に、美しい音色を演奏するお姿が神々しくて、ありがたくて……ありがたくて。来迎に向けて放った弓矢が花になる様子は、すべてを許し、すべてを受け入れているようです。きっとこの世を去る時の感覚なのでしょう! そして8年前18歳で旅立った息子も、来迎が迎えに来て、すべてを受け入れて逝ったと思うと、とても癒されました。
 突然のことでした。前日まで元気だった息子が脳内出血で、息を引きとりました。
 かぐや姫がタケノコのようにすくすくと育って、ハラハラしながらも幼子を見守る親。子育中、どんな苦労があったとしても、長い年月が経ったことなど忘れてしまうほど可愛く愛しい想いは、息子と重なりました。
 ただただ子どもの幸せを願う父と母。どんな形であろうとも『愛』には変わりないのかもしれません。親の愛を感じたから、かぐや姫も悩み苦しんだのでしょう! たとえそれが思い描いた事でなく傷付いたとしても、それは誰のせいでもなく、誰が悪い訳でもない。すべての出来事は、その人生に必要があって体験するべき事なのかもしれません。その体験を通して気付き成長し全うすることが、生きる事なのでしょう!
 かぐや姫が「穢れてなんかないわ」と。私も息子の葬儀の日、息子に辛い思いをさせた人を見かけた時、親としての怒りや憎しみなど、いろんな感情をいだいていたものが、一瞬にして「息子と関わってくれて、ありがとう」という感謝の想いが溢れました。私がその方を憎むことは、息子が生きていた人生をも穢れてしまいそうでした。息子の人生に関わってくれたすべての人、すべての出来事に感謝すると、なんとも言えない幸福感に満たされました。
 最後のシーンで、かぐや姫が地球を見て涙が一筋。それは悲しい涙ではなく、慈愛に満ちた想いで、地球で過した事がいとおしく感じたのではないかと思います。
 かぐや姫の言葉の中で「この地に生きるものは彩りに満ちている」と。この地に生まれすべてを受け入れ、すべての感情、すべての体験が光輝いて、そしていつか希望へとつながっていくのを感じました。いつか訪れるであろう「死」。その時まで、悲しみ苦しみ喜びを味わいながら生きてゆくこと。そして息子が確かに、ここに生きていたことを胸に、それでも生きてゆく歓びを、深く深く感じさせる映画「かぐや姫の物語」に出逢えたことは私を前へと進めてくれています。

塚田アナより

 最後の姫の涙の理由を、一番分かりやすく読み解いて下さいました。息子さんの思い出がよみがえりましたね。親は、ただ、子どもの幸せを願います。しかしそれは時に子どもを苦しめます。思い合うのに、いつか別れが来ることを噛みしめ、今を生きよと、物語は優しいタッチで伝えているのでしょう。どの人の子どもも、関わった人も、全てが幸せでありますように、と。息子さんにお伝えください。テレビ金沢の塚田もお母様と同じ気持ちです、と。

優秀賞

「かぐや姫の物語を観て」
野々市市  宮岸 裕子 様


 私は息子と娘と3人で「かぐや姫の物語」を観ました。初めの印象は水墨画のような筆使いや色のタッチで古い絵本という印象が強く、この映画は、どのような魅力を更に感じ得るのだろうかと興味が湧いて観ていきました。気が付けば、引き込まれて見入っている自分がいました。最近のアニメーション映画は、CG加工等が施され写真のような現実のような、仕上がりが多い中、この作品は言わば、それの逆と言うか、まさに動く絵本と言っても過言ではない素朴な絵のタッチで、これこそが 観る側の人に様々な想像性を湧かせてくれて深く味わえる作品ではないかと思わされました。平安時代絵巻のような雰囲気が漂いながら日本の古き良き物を大切にしたい、大切にしていって欲しいと願っているようにも感じました。
 かぐや姫の内容は幼い頃に絵本を読み聞かせてもらって知っていましたが大人になってから改めて知る、かぐや姫は、また違う感覚で観る事が出来ました。主人公のかぐや姫が一番に幸せと感じていた事は、富や名誉ではなくて両親からの深い愛情、この世の彩り豊かな自然、そして、すて丸兄さんへの恋心だったのでは、ないでしょうか。シンプルかもしれませんが本来、人間は人として生まれてきて生きていく上では、こうした事が人生の心の糧となりパワーに、エネルギーになるのだろうと思えました。
 そして月の都は、天国に見えました。地球がこの世であるのなら、かぐや姫は、月の都へ行ってしまうシーンは、まさに天に召されていくさまに見えました。このクライマックスシーンは、涙が溢れました。
 高畑監督の伝えたかったメッセージは、人それぞれ受け取る感じ方は、違うかと思います。私は、私事ですが。1月に父が他界した事とだぶりました。父は、もっと生きていたかったのではないか、私達娘を育ててきて幸せだっただろうか……等々、父への想いと向き合う日々の中にいました。そして私自身も親として、これでいいのかと考えていました。しかし、かぐや姫の一言「生きるために産まれてきた」というシンプルな一言で心がストンと落ち着きました。そうか……人は、この尊い命を大切に燃やすために生まれて生きるのだと。そしてこうも言っていました……「この地に生きる喜びを」と。この世に生きていられる……それがどんなに幸わせかを改めて感じました。ラストシーンのかぐや姫が、ふり返るシーンで涙溢れるかぐや姫。天国へ行っても「忘れないよ」というメッセージが込められているように感じました。監督からのメッセージに思えてなりませんでした。
 子ども達と共に感動したり涙しながら心洗わされる作品に出会えて感謝しております。
 改めて人は、いくつになっても感受性は、大切で心をみがいていく事が出来るということも再確認出来ました。それは、とっても大切な事だと感じています。

塚田アナより

 心の糧になるのは富や名誉ではなく、両親の愛情、彩り豊かな自然、捨丸への恋心である。ズバリと言い当てて下さり、気持ち良く読みました。全ての記憶を失くしたはずの姫が、地球を見て流した涙の理由を、息子さんと娘さんとで語り合って下さい。そこに高畑監督や、お父様の思いが重なっていると思います。お馴染みの筋書きと結末なのに、考えさせ、深く胸に刻んでくれる、まさに動く絵本の名作です。心をみがくのに年齢は関係ない。その通りです。


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