2017年9月11日〜15日 白山市 河内町吹上


白山市吹上。

風が強く家も吹き上げるほどであることから
地名がついたという急斜面の集落です。

そこで出会った謎の小屋と音。

木の皮の内側をはつるような作業です。

板の方を使うのかと思ったら、
逆に、
木の皮の方がメインなのです。

傘のように立てたり、筒状にしたりして、
内側にハチの巣を作らせます。

養蜂家の樫田さんの、親切な説明。

様々な花の蜜が集まるので、
独特な山の味の蜂蜜になるそうです。

ミツバチの巣箱は、
他の大型のハチに入られないよう、
あえて入口を小さく作ります。

巣が出来る天井部分を
取り外せるようにしています。

また、天井下の部分は、増築できます。
2階建て3階建てにできるのです。

家族が増えても問題ない将来設計。

ご自分の山の仕事の休憩所に、
「やませみ」という名前を付けました。

山を風流に楽しむ場所です。

クマの頭部分の毛皮の飾りは、
かぶるためにあるのではありません。
山の中の急な斜面にお宅は数件だけ。
建物の壁に謎のチューバです。

近くの畑にいた坂上さんは、
「オーナーさんが以前にブラスバンド部に
  所属していたのではないか」 とのこと。

そんなことってありますか?
「塚田さんは、何でも謙虚に聞くのは、
  七不思議の1つかな」

「七不思議ですか?」
「本当は、知っているのに
  聞いているのではないかな」

「いえ、あの楽器のことは分からないです」。

壁の楽器のオーナーは、
ハチの飼育をしている樫田さんでした。
演奏していたわけではないそうです。
もらった楽器を、鳥が巣を作るのに
役立てられないかと20年ほど前、
壁に掛けたということです。

吹上は、いまは7世帯20人弱が
住んでいる急斜面の集落です。

20年前までにぎやかな秋祭りがありました。
造り物が町を練ったそうです。

若衆の減少で、いまはありません。
区長の戸田さんの玄関先
に拍子木がありました。
20年ほど前に、
本業の大工仕事の合間に作ったもので、
使ったことはありませんでした。

「火の用心」。
澄んだお声が山里に響きました。


中川さんのお宅の玄関先にあった、
ギザギザの刃のようなものは何でしょう。

よく分からないけれど、
何か怖そうです。

中川幸子さんにうかがいました。

もともとは足にはめる「滑り止め」ですが、
不審な来客があったときに威嚇するため
武器になりそうなものを玄関に常備します。

確かに、手にはめると、怖いかも。
ご主人の昌彦さんは
2か月前に亡くなりました。
障がいがあって、体の半分が動かず、
趣味の水墨画は片方の手だけで描きました。

その作品があちこちに掛けてあります。
アトリエもそのまま残してあります。

夜中でも「かあちゃん」と呼ばれれば、
飛んで行ってお世話をしました。

「ありがとう」の一言もなく旅立たれましたが、
奥様にとっては、「普通」のことでした。

ご主人が丹精したシャクナゲなどの鉢を、
病床から見えるように、窓の外に並べました。
ご主人は横になりながら、眺めていました。

最初は「きれいだな」と言っていましたが、
そのうち、「普通」になりました。
大事にしたとか、優しさとか、愛情とか、
そんな言葉は口に出さない夫婦でした。

出さなくて良いのです。
窓からの風景が全て物語っています。
奥さん、これは絶景ですよ。
「普通」が一番。吹上に秋の風。
 

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