2017年11月6日〜10日 白山市上野町


八幡様にご挨拶して、鳥居を抜けたら。

「彫刻みたいなことをしてます。見てくれるか」
こんな風に自然に縁がつながる町。
白山市上野町(かみのまち)です。

細川佐太一さんのアトリエにお邪魔します。
「アトリエっちゅうもんじゃないよ」
「ではギャラリーですか?」
「いやそんなもんじゃないよ」

・・・と謙遜されていた、
そのガレージの2階です。

見事なギャラリーアトリエでした。
10センチくらいの木彫の花器が棚にぎっしり。

兼六園を題材にした箱庭作です。

ことじ灯篭を、曲水沿い、花見橋たもとに配置。
背景には白山のレリーフです。

木の板から飛び出しそうなトラです。
趣味の木彫作品は7年ほど前から
「時間つぶし」で取り組んできたそうです。

気持ちが乗らなかったら、
ぱっと一服。
無理せずに数々の作品が生まれます。

この緑の箱は、何なのか。
現場で考えても手掛かりがありません。
犬小屋くらいのサイズです。
中には枯葉が少しあるだけです。

「んなーがら」。
辞書にはありません。

近所の人によると、
農業組合法人の名前だそうです。

共同利用の農業機械の油入れの箱でした。

しかし言葉の意味は不明です。
そこへ拍子木の音が響きました。
立札のような回覧板です。

「火の用心」の拍子木を打って回る当番で、
毎日「火の番やよー」と言って
拍子木とセットにして隣に回します。

上野町の「西の班」では、
多いときは朝・昼・夜と1日3回も回ります。

「んなーがら」の意味が分かってきました。

朋子さんが小さい頃、会合の際に村長さんが、
「んなーがら、ようござった」と言ったそうです。
「みなさん、ようこそ」という意味のようです。

なるほど。「みんな」「みなさん」なのですね。

街角に
いくつも消火栓とホース箱があります。
どちらも赤くてよく目立ちます。
防火意識の高い町とよく分かりました。
ホースを見せてくれた加葉田さんからは、
さらに謎のお誘いを頂きました。
「家にでっかいゾウがいるよ」。

黒檀製で40センチくらいの置物です。
黒くて固く、光沢が美しいです。
インドの神様なので、縁起物として
飾っているそうです。

私の力では持ち上がりません。
石のようですが、木です。
「加葉田さん、どうして手が黒いのですか?」

「干し柿を作る作業中やったんや。
  今年はこれから干すところやけど、
  冷凍して1年いつでも食べられるよ」

「では、去年の干し柿がありますか?」

「ほんなら探してみるわ」。

「これ。持って行っていいよ。
  娘が嫁に行ったところ、肉屋さん。
  冷凍の肉や」
「肉は要りません。私が見たいのは…」
「ほら、これ。エダマメや」
「いえ、要りません。干し柿は…」
「見当たらん」。


東出さんの4人目のお孫さん、
心徹(こてつ)くんです。
生まれて1か月過ぎたところ。
取材の6日前に、5人目の孫が誕生。

幸せも何倍かになったでしょう。

晩秋なのにミニトマトがなっていました。

心徹くんのいとこのおにいちゃんたちが、
夏場には、採って食べていたそうです。

さすがにこの季節では食べませんが、
赤いのを一つ頂くと…

「 すっぱい!」

東さんのさんのお宅には、
井戸から水をくみ上げるポンプがあります。
井戸とは別に、山からの水を使う水道も。
これらを3つのバルブで調節しています。

知恵子さんの嫁入り前から使っていて、
いまでも大切な生活用水です。
前後左右をせせらぎの音が囲む町です。

すっきりと雑味のない水の味。
冷た過ぎず、柔らかい味です。
ああ、美味しい。

出会った人の優しさも溶けている、
白山市上野町の水でした。
 

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