2018年2月5日〜9日 白山市 市原


「雪は天から送られた手紙である」
中谷宇吉郎博士の言葉です。

顔に雪が吹き付けてくる日です。
きっと手紙に書いてあるでしょう。
「きょうは家にいたほうがいいよ」
白山市市原の旅が始まります。

市原の八幡神社です。
拝殿の階段は長い急斜面。
お正月には除雪しましたが、
この時点で積雪60センチくらい。

この先に行けないので、
鳥居前からご挨拶です。

神社の前の集会所がにぎやか。

「この最悪な日によくぞ来られました」

市原の集会所で開かれていた
年に一度の老人会の新年会です。

集会所の和室の隣は道場です。

毎月、親鸞聖人の月命日前に
「お逮夜(おたいや)」の
お参りをしています。

天井からつりさげた太鼓を打って、
行事の始まりを告げます。

以前は毎日、朝晩、
打っていたそうです。

いまは老人会メンバーですが、
かつてはバンドマン。

「楽団ホープ」で、
中村さんはトランペット、
池ださんはマンドリン、
田端さんはギター担当でした。

中村さんが40年以上前の
トランペットを見せてくれました。
花形だったそうです。

なぜこの集落に
「楽団ホープ」があったのでしょう?

「楽団ホープ」は昭和22年末に、
村の若者がギャンブルに
熱中し過ぎないように
当時の学校の先生が
楽器を教えて結成されました。

「生き字引」の谷保さんによれば、
女性たちも負けておらず、
歌、踊り、芝居を披露する
舞台に立っていたそうです。

出し物や稽古の様子は、
ほかの地区には秘密でした。

市原は、紙漉きの里であり、
丈夫で美しい市原紙を
作っていました。  

子どもたちは、
紙の原料のコウゾを叩くのが
日課だったそうです。

甘いマスクの池田さんは、
マンドリン担当です。

多くの人を魅了したことでしょう。
やはりお宅でも、
市原紙を作っていたそうです。

原料のコウゾを水に浸す
「ため池」があちこちにあります。

30年ほどまでに、
市原紙を再生しようとしましたが、
産業化するまでには至らなかったそうです。

帽子のおしゃれを楽しむ池田さん。
外出用、農作業用、室内用と
使い分けています。

しかし川柳を詠むときは、
あえて何もかぶりません。
「そのままを表したい」からです。

「大笑いしながら老いていく話」
かつてのスター、バンドマンは、
いまもお元気です。


凍える寒さも、人情で緩みます。
市原は柔らかな雪と紙の町。
 

≫ MAPに戻る