7月13日(日)7:30~8:00
シリーズ・百万石を支えた男たち⑤
『加賀騒動と前田土佐守直躬』
◆◆◆ふるさとの歴史ロマンを探る30分◆◆◆
今回は加賀藩の約260年の歴史の中でも1番と言っていい、
複雑な人間関係が入り混じった、前代未聞の事件がテーマです。
「加賀騒動」…最終章は前田土佐守直躬が主人公です。
◎藩主毒殺未遂事件
加賀藩6代藩主・前田吉徳が逝去し、
家督は7代・宗辰(むねとき)に移りますが、
その宗辰も22歳の若さで去り、弟・重熙(しげひろ)が8代を継いでから
この事件が明るみのものとなります。
1748年(寛延元)、江戸・本郷の加賀藩上屋敷、
(現在の東京大学があるところです。有名な赤門は当時のものです)
8代・重熙の暗殺を狙った「毒殺未遂事件」が起きました。
この「置き毒」は2度にわたって行われました。
直接、毒を盛った下手人として、
6代・吉徳の側室・真如院(しんにょいん)の娘である楊姫付きの侍女、
浅尾が捕らえられ、「真如院に頼まれた」と自白するのです。
この時、捜査の陣頭指揮をとり、収束を図ったのが、
時の加賀八家筆頭家老・前田土佐守直躬(とさのかみなおみ)です。
直躬は利家とまつの次男、利政を祖とする土佐守家の5代目。
いわゆる藩主の分家筋に当たる家柄です。
直躬は直接、真如院らの取り調べなどを行い、
吉徳の側近で、財政改革の舵取りをしていた大槻伝蔵も
真如院と密通しているなどとして、関係者をすべて処罰していきます。
「加賀騒動」は後に実録小説や歌舞伎、講談などでも大いに演じられ、
大槻伝蔵が悪人中の悪人、前田直躬は加賀藩を救った
ヒーローという形で一件落着となっています。
しかし、この事件の真相は闇に包まれていて、
側室同士の争いや、藩主の側近・重臣たちの確執といった
対立の図式が見えてくるのです。
◎「加賀騒動」3部作最終章
さてさて、この「加賀騒動」。
実は「いしかわ大百科」で取り上げるのはこれが3回目です。
1回目は真如院に加担したとして囚われた吉徳の側近、
大槻伝蔵を主人公とし、「伝蔵は『えん罪』ではなかったのか?」
というストーリーに仕上げました。
2回目は10年前。今度は女性の目線で、真如院を主人公とし、
「我が子を藩主に据えるための側室同士の争い」を描きました。
この時は東京へも撮影に行き、新たな発見もあって、
大いに盛り上がったのを覚えています。
この2回の放送は、いずれも伝蔵や真如院は実は『えん罪』で、
裏で糸を引いていたのが、前田直躬ではないか…
というのが、番組の狙いでした。
そして今回、逆の発想で、「前田直躬から見た加賀騒動」を
テーマにしたいと思ったわけですね。
事件の背景については、加賀八家・横山家の末えい、横山方子さん。
「加賀騒動」を文芸面から熱く語ってくださるのが
泉鏡花記念館の青山克彌館長。
そして前田直躬と土佐守家については、同資料館の学芸員、
竹松幸香さんが解説してくださいます。
それぞれの目線でひもとかれていく「加賀騒動」。
複雑な人間関係で、一度に理解するのは難しいかも知れませんが、
意外な真相が飛び出すサスペンス物語は
とても興味深いテーマですので、ぜひお楽しみに!
いしかわ大百科
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【リポーター】平見夕紀