7月12日(日)7:30~8:00
ふるさと探訪シリーズ・わが街こころの風景⑤
『山ろくの玄関口・鶴来 ~白山市~』
◆◆◆ふるさとの遺伝子を探る30分◆◆◆
ようやく梅雨らしい季節になってきました。
こう雨が続くと気分も沈みがちになりそうですが、
実は、この雨も大切な恵みになります。今回はそんなお話・・・
◎山ろくを駆け抜けたローカル線
ゴトンゴトンと揺られて鶴来駅へ向かう佐野アナ。
北陸鉄道・石川線は金沢市の野町駅から白山市の加賀一の宮駅まで
15.9キロを結ぶ路線です。
ことしの10月末で鶴来~加賀一の宮間が廃止となりますが、
かつては能美線と金名線と合わせて「石川総線」と呼ばれ、
人々の大切な足となっていました。
このうち金名線は加賀一の宮駅から鳥越地区の白山下駅を結びます。
途中、手取峡谷を渡るなど、白山ろくの自然に囲まれた路線で、
昭和30年から45年までは「手取遊園」というレジャー施設があったんです。
覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
もともと金沢と名古屋を線路で結ぼうという壮大な計画の下、
金名線は創業しましたが、白山ろくの材木や山菜・キノコといった特産物、
そして九谷焼の材料となる土を運ぶなど、
車事情が良くなるまでは大切な足だったことは言うまでもありません。
北陸鉄道企画部の大久保さんいわく、
「石川県で一番景色のきれいな場所を走る」路線だったそうで、
当時は白山登山へ向かう人たちであふれかえったんだとか・・・
今、この線路は「手取キャニオン・ロード」というサイクリング・コースに
なっていて、白山下の駅舎も自転車ターミナルに変わりました。
河内地区あたりに架かる「金名橋」など、
名残ある風景をぜひ訪ねてもらいたいものです。
さて、加賀一の宮駅を出ると、白山比咩神社の表参道へ続きます。
全国3000社あまりの総本社。その信仰は「水」にあります。
◎白山からの恵み
毎年7月1日は白山の夏山開き。ことしも登ってきましたが、
あいにくの天候で1日は大荒れの天気。
ご来光を拝むことはできませんでしたが、
一面に広がる残雪の雪どけ水はひんやりとしておいしかったです。
白山に降る雪や雨は、目に見える流れとして手取川に注ぐだけでなく、
地下深くにまで染みこんで、伏流水となります。
白山市鶴来地区はこの伏流水を利用した醸造業が盛んな地域。
酒、酢、醤油、味噌…食品以外では鍛冶など、
さまざまな場所で白山の水が愛用されています。
大屋醤油の5代目、大屋仁人さんは、
うちの醤油じゃなきゃだめというリピーターに感謝しつつ、
白山からの伏流水は、「いのちの水」だと話してくれました。
商品にも「白山の雫」と命名するほど、白山にあやかっています。
お酢を手がける高野酢造。こちらでは発酵中のお酢と対面。
鼻にツ~ンと酸っぱい匂いが漂います。
お酢を造るためには、まず日本酒を造らなくてはなりません。
この日本酒に種酢を加え、酢酸菌を入れて発酵させるのです。
一口に「水」といっても、硬水とか軟水とか成分も変わってきます。
白山からの伏流水はミネラル分が豊富で、酒造りに適しているんだとか。
いい日本酒ができるからこそ、いいお酢が出来るというわけです。
ちなみに高野酢造ではスーパーなどで売られる商品だけでなく、
飲食店など、その店オリジナルの酢まで手がけていて、
その味にかけるこだわりに感心させられます。
近く創業300年を迎える小堀酒造店。
1リットルの酒を造るのに30リットルの水が必要なほど、
水は重要な役割を占めています。
古くから鶴来で造られる酒は「加賀の菊酒」と呼ばれ愛されてきました。
小堀酒造店では地元の酒造メーカーとして、
山の整備をして水源を守る活動を行うなど、水への感謝を忘れません。
小堀幸穂社長いわく、
「鶴来は自然にあふれ、歴史・伝統にあふれる街」と誇らしげに
語ってくださいました。それもすべて、「水」に始まるのです。
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【リポーター】平見夕紀