5月27日(日)7:30~8:00
ふるさとに元気!石川のモノづくり③
『和菓子どころを支える技』
◆◆◆ふるさとの遺伝子を探る30分◆◆◆
特徴ある石川の元気な企業を紹介するシリーズ3回目は、
最中の皮などの菓子種を製造しているメーカーです。
◎1000を超える型
明治10年から菓子の材料を手掛けている加賀種(金沢市)は、
「最中の皮は脇役ではない」と皮に強いこだわりを持ってきました。
食べ終わった後も皮の食感がほのかに残り、
バラエティに富んだその形は、1000種類を超えています。
菓子種とは菓子の原料のことを言うのですが、
もち米を材料とした菓子材料を和菓子業界では「種物」と呼んでいます。
京都で作ったものなら「京種」、丹波なら「丹波種」。
加賀で作ったものは「加賀種」というわけです。
この「種物」を造る種物屋は、和菓子店の下請けとして
専属していることが一般的なのですが、今回ご紹介する「加賀種」は、
その技とこだわりで、これまでに全国3000店を超える和菓子店と契約し、
まさに最中皮の専門メーカーとして活躍してきました。
3000軒の和菓子店で扱うものは、大きさや形はもちろん、
味や堅さもそれぞれ違います。
皮を焼いて20年を超えるベテランでも、その日の気温や湿度、
基になる餅の状態を見極めながらの作業。長年の勘が頼りです。
また型は最初、木型を造り、そこから型を取ります。
干支や果物など、まるでおもちゃ箱のようです。
◎モノづくりのこだわり
最中の皮の原料として重宝されているのが「新大正もち」という、
北陸でも生産者が極端に少ない品種。
育ちにくく、手間がかかるため、希少なもち米と言えます。
奥能登・珠洲市の農業法人すえひろでは、
加賀種と契約を結んで、「新大正もち」を契約栽培しています。
この辺りは赤土で粘土質が強く、寒暖の差もあるため、
いい米が作れるところで知られています。
最中の皮はもち米以外何も入っていないので、ごまかしがききません。
石川県で米づくりの第一人者にも数えられるすえひろのもち米で、
その本物のうまさをダイレクトに伝える皮が完成するのです。
一方、金沢で人気の和菓子店・茶菓工房たろうでは、
若い人にも食べてもらえるよう、形なども工夫して、
加賀種の皮を最大限活かしています。
加賀種自身もさまざまな企画を提案しながら、
今も愛されている最中を、次の世代にも伝えていこうと
日々、知恵をしぼっています。
これまで脇役に見られがちだった皮を
餡と相性抜群のパートナーにまで仕上げた菓子種専門メーカー加賀種。
金沢の薫り高い伝統、風土と、モノづくりの熱いこだわりが
その技を育み、和菓子どころを支えているんですね。
いしかわ大百科
【OA】日曜 午前7:00~7:30 ≫≫≫「ぶんぶんセブン」「弦哲也の人生夢あり歌もあり」と週替りで放送
【リポーター】平見夕紀