4月21日(日)7:00~7:30
シリーズ・近代の石川を支えた偉人たち①
『金沢建築めぐり ~谷口吉郎~』
◆◆◆ふるさとの遺伝子を探る30分◆◆◆
この春から『いしかわ大百科』は朝7時からの放送になります。
どうぞ、お間違えのないように、よろしくお願いします!
さて、北陸新幹線の開業を2年後に控え、
新しい街づくりが進められている石川県ですが、
今回からは石川が発展を遂げてきたルーツを掘り下げながら、
今の私たちに伝え残されてきた先人の知恵を紹介します。
1回目は日本を代表する建築家・谷口吉郎です。
◎美意識のルーツ
「東宮御所」や「東京国立博物館東洋館」など、
日本を代表する建物を設計した金沢出身の建築家・谷口吉郎は、
「清らかな意匠」の理念の下、
石川県美術館(現・石川県立伝統産業工芸館)や
石川県繊維会館(現・金沢西町教育研修館)など
数多くの建築に携わってきました。
金沢の九谷焼窯元に生まれ、金沢二中時代は兼六園が
通学路となるなど、少年時代から知らず知らずのうちに美意識が育まれ、
本人は窯元を継ぐつもりでしたが、
19歳の時に関東大震災の衝撃を受け、建築家を目指すことになります。
もともとは無駄なものを徹底的に省き、
機能性を重視した建築を得意としていた吉郎ですが、
日本大使館の日本庭園を手掛けるためにドイツに渡り、
古いものを取り入れた現地の建築に大きな感銘を受けます。
以来、吉郎はより日本人としてのアイデンティティを意識した
設計を手掛けるようになりました。
◎和のモダニズム
伝統産業工芸館の外壁を見ると、まるで障子のようなデザイン。
中に入ると、鏡池からの兼六園の緑と格子戸の外壁が
見事に調和しています。
学芸員として会館時、吉郎と意見を戦わせた
現・石川県立美術館の島崎丞館長は、
「金沢らしい景観にいかに馴染むかを表現した名建築」と
当時の想い出を語ってくださいました。
鉄筋コンクリート造りなのに、和の雰囲気があふれる建築。
西町教育研修館に入ると、自然の石をそのまま組み合わせた
鉄平石の乱貼りの床や折り鶴のシャンデリアなど、
一見、奇抜・斬新だと思われがちですが、
何故か、和の雰囲気に包まれています。
また吉郎は建物のみならず、日本で最初の文学碑も手掛けました。
その第1号となった卯辰山の徳田秋声の文学碑は、
背景となる土塀の高さをミリ単位で調整したそうです。
近代化が進む中で、歴史と伝統があふれる金沢らしさを
建物の意匠にこめた吉郎。
金沢の名誉市民第1号となった吉郎の建築を訪ねます。
いしかわ大百科
【OA】日曜 午前7:00~7:30 ≫≫≫「ぶんぶんセブン」「弦哲也の人生夢あり歌もあり」と週替りで放送
【リポーター】平見夕紀