7月8日(日)7:30~8:00
ふるさとに元気! シリーズ・石川のモノづくり⑤
『本物を超えた! 風土に育まれたヒット商品』
◆◆◆ふるさとの遺伝子を探る30分◆◆◆
モノづくり企業のシリーズは折り返し。
今回は誰もが食べたことがある、あのカニカマを手掛ける企業です。
◎世界初のカニカマ
七尾市に本拠を置くスギヨは、ことし法人化50周年を迎えた、
カニカマやちくわなどの練り物を手掛ける食品加工メーカーです。
皆さんよくご存じのカニカマは、今から40年前、
ある製品の開発の失敗から生まれました。
カニの身をほぐしたようなカニカマから始まり、
スティックタイプのものが登場。平成2年には
今もスギヨの主力商品となっている「ロイヤルカリブ」が誕生します。
この「ロイヤルカリブ」は左右対称のカニカマを合わせて、
葉脈状にするという複雑なもので、
大量に生産するための機械化に3年かかったそうです。
このカニカマ。初めて世に出たころは、
本物のカニのつもりで売り出したわけでもないのに、
「コピー商品」・「まがい物」といった苦情が寄せられたそうです。
それでも、高級品のカニとは違って、安価で手軽に食べられるとあって
その人気は急上昇していきます。
「カニのようでカニではない」…のキャッチコピーを覚えている方も
多いのではないでしょうか?
さて、そのスギヨは常に開発し続けることをモットーとしています。
「ロイヤルカリブ」から14年後に完成した「香り箱」は、
バイヤーが本物のカニと見間違えるほど精巧に作られていて、
平成18年の農林水産祭で最高賞となる「天皇杯」を受賞します。
杉野哲也社長は、
『ニセ物といわれたものがようやく商品として認められた』と語り、
開発した当初の先代社長たちの苦労が報われたと実感したそうです。
また「香り箱」の開発に携わった水口伝さんは、
『作り手が感動できる商品に出会えるのは一生に1度か2度』と話し、
「香り箱」に出会えた喜びにあふれていました。
ちなみにこの「香り箱」。スーパーなどでは、練り製品ではなく、
鮮魚のコーナーに置いてあるというのがすごいですね。
◎能登から発信する意味
スギヨは江戸時代から七尾で網元をしていた杉野家がルーツとなります。
(杉野與作の「杉」と「與」から「スギヨ」と命名)
明治時代頃から焼きちくわの製造を始め、
今も庶民に愛される味を造り続けています。
この焼きちくわは能登近海で獲れるアブラザメを使っていて、
食べる人にもっと健康になってもらいたいと、
アブラザメの肝臓に含まれる肝油からビタミンを抽出し、配合しました。
この「ビタミンちくわ」は栄養事情が厳しかった戦後の復興期に
飛ぶように売れたといいます。
特に海のない長野県では、未だにちくわといえば、
スギヨのちくわというほど、定着しているんだそうです。
ちくわとカニカマという2本柱で業績を上げたスギヨですが、
その原点は能登にあると杉野社長は話します。
地理的ハンディをかかえながらも、ナゼ、能登から発信するのか。
その思いは、ぜひ番組でご覧ください。
いしかわ大百科
【OA】日曜 午前7:00~7:30 ≫≫≫「ぶんぶんセブン」「弦哲也の人生夢あり歌もあり」と週替りで放送
【リポーター】平見夕紀